エンディングノートの正しい選び方・書き方


終活に関する仕事に就いている関係上
エンディングノートを50冊ほど買いあさって調べた経験から
エンディングノートの正しい選び方と書き方に関して
初めての方にもわかりやすく説明します。

(お急ぎの方で結論だけお知りになりたい方は
紙とえんぴつのイラストの下の部分からお読みみて下さい。)

本題に入る前に・・・
2011年10月に「エンディングノート」という映画が公開されたため、
その関係でこのページにいらっしゃる方が増えたようです。
一応感想を書いた記事
映画(以前は、活動写真と呼ねれていました)「エンディングノート」の感想
にリンクを貼っておきます。
エンディングノートグラフ
さて本題。
エンディングノートの正しい選ぶ方法と書き方
に話を戻します。

60才以上の方を対象にしたある調査によると

エンディングノートを知っている人もは、65%。
今後書いてみたいという人は47%。
しかしエンディングノートを実際に書いている人は、6%にすぎない
のだそうです。

つまりエンディングノートの一番大きな難関は
なかなか書き始めることができないこと、
言い換えるなら最大のポイントは
「書くこと」
なのです。

以下の私の文章が少しでも多くの方の
エンディングノートを書き始めるきっかけとなるなら
とてもうれしいです。

さて
まず、エンディングノートとは何か?
という解説から。

エンディングノートを直訳すると
「最期の覚え書き」。

自分の人生の記録や、残された人に伝えたい情報を
書き記した冊子のことですね。

しかしこの「エンディングノート(ending note)」という言葉(頻繁に口にしているものによって、現実が変わるとかいわれることもあります)、
実は和製英語(日本人ってどうして苦手意識を持ってしまうんでしょうね)(日本でしか使われていなくて、英語圏では伝わらない英語(楽天では社内の公用語になるらしいです))です。
辞書にはのってません。

ceremony hall(セレモニーホール:葬儀場を表す和製英語)といっしょで、
いわゆる忌み言葉(時には武器にもなり、凶器にもなり、人を救うこともできるでしょう)や使いたくない言葉の言い換えみたいなものだと思います

こういった言い方をすると、ちょっと批判しているみたいですが、
直接的な表現を避けた商品名のせいで敷居が低くなって、
エンディングノートを残す人が増えてくるのなら
この「エンディングノート」と言った言葉(同じことでも言う人によって、また、聞く人によってかなり受け取られ方が畭なるものです)も悪くないと思います。


さて次に、
遺言書とエンディングノートの違い
についてです。

どちらも残された人に対しての伝達事項が記載されていると言う共通点がありますが、
遺言書は(財産分与(独身の時からの貯金や親の遺産などは対象になりません)など)法的効力を持つが
エンディングノートは法的効力を持たない。
その代わりエンディングノートは安い値段で気軽に自由に作成することができる。

ということが言えると思います。
遺言書

それから
エンディングノートを残すメリット
としては以下の3つ。

1.自分に万一のことがあったときも、家族が困らない。

葬儀屋さんとしてのご自身の経験では、
ご本人が亡くなって、
「あれは、どこ?」「これはどうしたら?」「お葬式はどの程度のふうにしたら」
とご家族がお困りになっているケースをよく拝見します。
エンディングノートを残しておく事で、
ご家族がお困りになる可能性を低くする事ができます。


2.日常生活の備忘録としても使える

お年を召されたせいで物忘れを起こす事があっても
住所録や連絡先などの情報を1箇所にまとめたノートがあると
日常の生活でも便利です。
その役目もエンディングノートは果たします。


3.家族に対する自分の愛(時には偽善だったり、押し付けだったり、自己都合だったりすることもあるでしょう)情を伝えることができる

1で述べたような、家族が困らないために、という気持ち(自分のだけを優先していると自己中だといわれてしまうことでしょう)(つまり愛情ですよね)を
家族に伝えることができます。
また生前ちょっと照れくさくて言えないようなメッセージを
エンディングノートに残しておくことで
家族の悲しみを癒(いや)し
グリーフワークに役立つこともあります。


2012年に行われた読売新聞(載っている記事が必ずしも正しいわけではないんですよね)の世論調査でも

「自分の葬式に関する希望は、家族などに口頭(日本では、脳の死が人間としての死だと定義されていますよね)で伝えたり、
文書で残したりしておくべきだ」と思いますか、そうは思いませんか。
答え 1.そう思う 67%   2.そうは思わない 32%

という回答結果になっていて、
エンディングノートに対する意識は高まっていると思います。
エンディングノート
さていよいよ、
エンディングノートの正しい選ぶ方法です。

結論から申し上げますと
「エンディングノートの内容はどれもほとんど同じなので
出来るだけ安いものを買いてください」
です。

エンディングノートの構成・項目は
大体以下の通りでしょう。

・自分について
(生年月日・家系図・学歴など)
・親族や関係者の情報
(関係について・住所・電話番号・葬儀告知の有無)
・介護・治療について
(告知はしてもらいたいか・終末治療の希望・臓器提供や献体)
・資産について
(銀行の口座・カード・その他金融資産(何割かを自己投資にまわすことでさらなる発展に繋がるといわれています))
・葬式とお墓について
(何人くらい呼ぶか・宗派・どこでおこなうか・予算・喪主は誰・など)
・遺言的な内容(注:エンディングノートに書いても法的効力はない)
(相続や土地の相続に関して)
・残された人へのメッセージ
・PCやネット上の情報について
(メール・SNSなどのアカウント・PCデータの処分方法)

といったところでしょうか。

今手元に

遺言ノート―死ぬ前にどうしても残しておきたい大切なこと
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という1996年に出版されたエンディングノートがあります。
おそらくエンディングノートのはしりだと思いますが、
この段階でエンディングノートに必要な項目は
既にほとんど網羅(もうら)されています。

この後続々と出たエンディングノートは基本項目に関してほとんど同じです。
強いて違いを申し上げれば
・レイアウトをいじる
・装丁を豪華にする
・エンディングノート本体と、書き方に関する解説本を分ける
という価格をつり上げるための付加価値があるかないかの違いだけです。

ちなみに先ほど紹介した「遺言ノート」の特徴を強いて挙げるなら、
「遺(のこ)された遺族へのメッセージ」に重点を置いている点です。
これが最近になるにつれて、発売されるエンディングノートの内容が
「身辺整理の為の備忘録」にシフトしています。
無縁社会化を象徴しているのかもしれません。

さてエンディングノートの内容にあまり違いがなかったらすると
購入するときのポイントは「安い」ことだと思います。

内容が内容だけに
貴方の人生の集大成、と構えてしまって
なかなかきっかけがないと書き始めることが出来ない人も多いでしょう。
(冒頭で申し上げた調査結果、実際に書いたことのある人は6%という数値を思い出にして下さいね。)

だから気軽に書き始める事が可能で
後日簡単に訂正を書き込めることが重要。
なんなら更新を繰り返してさらに将来において
また新しく買いかえる必要が出てくるといわれているようです。

であるならば革張りの装丁などではなく、
気軽に使えるエンディングノートである必要があります。
ということで「安い」に越したことはないみたいですね。

では安いエンディングノートの探し方です。
ネットの書籍販売サイトアマゾンで「エンディングノート」といった単語で
検索してみてください。

あとは「価格の安い順」に並び替えてみて下さい。
現在(2012年3月)安いのはこちらでしょうか。

(追記:2014年12月 最近アマゾンを中心にコクヨのエンディングノートの新品価格が半額前後になっています。
送料を入れたとしても、おすすめです。)

コクヨ エンディングノート<もしもの際に役立つノート> LES-E101
posted with カエレバ
コクヨ 2010-09-01
Amazon
楽天市場(購入するとポイントが貯まるので、ちょっとお得ですよね)
アマゾンでの注文の経験(これがないと雇ってもらえないこともよくあります)のない方(お年を召した方はほとんどそうのだとか)は、
大きめの本屋さんで一番安いのをお選びください。

更に、エンディングノートを無料で手に入れることができる裏技がありますね。

最近大手である葬儀社では事前相談や葬儀セミナー(専門性の高い講義を少人?の生徒を対象にして行うことをいいますが、必ずしも少人?ではないこともあります)に来たお客様に、
自社のエンディングノートを無料で配布するところが増えてきているのようです。

「葬儀社  エンディングノート  ○○(自分の住所)」で検索してみてください。
近くにエンディングノートを配っている葬儀社があれば、もらいに行きましょう。

実際何社かの、エンディングノートを入手してみました。
(作りは安のようなのですが)項目は必要十分でした。
ついでにお葬式について情報を集めたい方には
一石二鳥みたいですね。

購入したら下書きのつもりでとりあえず書き始めてしまいましょう。
構えないで、まずは、っていう気持ちが大切。

知人の連絡先を調べなきゃっていう場合も後回しで、
埋められるところを先に埋めちゃいましょう。

ある程度埋めたら、定期的に見直して足りない情報をたしていけばOKです。

誕生日が、書きこむ良いタイミングだと思います。
宿題や仕事などといった場合、締め切りが設定されていると、締め切り直前にモチベーションが高まってやれる事が多いんです。
しかし、ことエンディングノートに関しては、切羽詰まった状況(死を意識した状況)で書こうとすると、
個人差はあるものの、なかなか精神的に辛いものがあると思います。
あえてなんの心配もないときに、お書きになるのが良いと思いますが、
それだといつまでたっても書けないという方も多いと思います。
ならば誕生日にお書きになるというのはいかがでしょうか。

相手の理解があるのなら、
誕生日のおくりものとしてエンディングノートを選んでもいいかも知れません。

以上がエンディングノートの正しい選ぶ方法と書き方です。